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思い出話ですが。

28年前の夏休みのとある早朝。
当時17歳の私は、1人北海道知床にある羅臼岳(ラウス)の山頂にいました。
知床半島を一望し、半島の左側には真っ青なオホーツク海が、半島の右側には金色の雲海が広がっていました。
今も忘れることのない、息を呑むような絶景を眺めながら、手作りサンドイッチを頬張り、私はある人を待っていました。

写真 (24).JPG

大学受験を前にゼミに通う友人から離れ、日本指圧専門学校に進路を決めている私はバイクでまるまる1ヶ月間の1人旅に出ました。
それまでお刺身は気持ち悪いほど嫌いで、全く食べずにいたのですが、
函館の炉端焼き屋さんで、「だまされたと思って食べてみろ」と言われたエビの刺身の美味しさにビックリしました。
甘さ、プリプリとした食感、だけど弾力性が有る噛みごたえ。
それをきっかけにお刺身大好きになったのが、ちょうどその1年前、
16歳、高校2年時に、兄夫婦と姉とで行った北海道ツーリングでした。
あの頃青梅の山奥で安く売られていたお刺身って、もっと臭くてブニュブニュで、
言葉は悪いけど死んだ魚の生肉だったんですね。
翌年、東北と北海道をテントと寝袋、お米と鍋類を積み込んだバイクで放浪し、
ほとんど自炊の生活を送っていたのですが、
襟裳岬だったかな~? あまりにもお腹が減って立ち寄ったドライブインで、
甘エビ刺身定食 1100円 を食べたいな~ と思ったのですが、
チャーハン     500円 を注文せざるおえなかったあの悔しさ・・・・
今も忘れません。
将来はたくさん稼げる人間になろうと決意したのは、本当にウソじゃありません。
知床峠から見上げる羅臼岳は雄大です。

写真 (15).JPG

そんな羅臼岳の登山口にある無料の山小屋に寝泊まりし、
知床五湖やカムイワッカ湯の滝などに足を伸ばしていたのですが、
旅の前半に函館の北にある駒ケ岳に登った私は、あの達成感を思い出し、
ある朝、羅臼岳の一番乗りを計画し、夜のうちにサンドイッチを作り、
早朝、1人で山頂を目指したのでした。
そして文頭の、羅臼岳の山頂で私が待っていたのは、次に登ってくる人。
一番乗りを目指して登ってきたら、すでに若造が、しかもTシャツに偽物のコンバースの超軽装小僧が山頂にいたら・・・
その人達がどんな反応をするかを見たかった。
そんなイタズラ心でワクワクしながら。
だんだんと近づいてくるハイカーのリーダーらしき男性が、形相を変えて言い放った言葉が、今も忘れられない。
 「ダメじゃないか! 
  こんな早い時間に1人で登ってきたら!  ヒグマが出たらどうするんだ!」
つねにトップを狙いたい向上心と、ただ単に無謀な冒険心、
そして贅沢できない貧乏性は今も変わりません。
この夏、そんな自分の原点を思いだしながら、あの甘エビ刺身定食を食べに、
北海道に行ってきます。
今年の8月はたぶんヒマなので、長く休んでも仕事に支障はないと思います。
1枚目の写真は、叱られた後です。だけどどうしても写真を撮ってほしくって、
リーダーが離れたスキに女性にお願いして撮っていただいた写真なので、
笑えていないんです。(笑)
以下は補足のアルバムです。
うだるような暑さの東北。
もちろん高速道路なんて使えません。
限定解除をしたのも同級生の中で1番目。
(限定解除とはバイクの大型免許で、400CC以上のバイクに乗れる免許。
当時は教習所ではとれないで、運転免許試験場で厳しい実技試験がありました。)
ようするに、勉強してなかったってことですね。

写真 (22).JPG

北海道に渡って、大沼国立公園のキャンプ場にベースキャンプを張りました。
いろんな旅人と知り合って、さまざまな価値観を学びました。
大沼から見る駒ケ岳のシルエットは本当にキレイです。
明日はみんなであの駒ケ岳に登るぞ!

写真 (12).JPG

登山口までバイクで移動。
オーストリアから来たニールは、雨の中でも焚き火をおこしてくれました。

写真 (19).JPG

間近に見る駒ケ岳の頂上。
剣先と呼ばれているそうです。

写真 (23).JPG

アタック中。
落ちたら確実に死ぬでしょうね。
自分の子供にはやらせたくないな~。
どうやら現在は登山道が閉鎖になっているそうですね。

写真 (11).JPG

あまりの恐怖に、上の写真の部分でリタイアしました。
別のトップで満足して記念の写真をパチリ。
隣は横浜から来た消防士さん。鍛えてあるから足が太いですね。

写真 (13).JPG

文化祭でクラス全員が揃えた2年8組のTシャツで行きました。背中に8の字が見えますね。
洋服のセンスが無いのも、興味が無いのも変わりません。
でも、「せめてシャツはズボンから出せっ!」って言いたいですね。

写真 (20).JPG

お昼ごはん。
この残りで翌日のサンドイッチを作りました。
このTシャツは24時間テレビのです。 だれにもらったんだろう?

写真 (17).JPG

実は登っている最中に、熊の足跡を見ていたんです。
まだ新しそう。 

写真 (14).JPG

羅臼岳。頂上までもう少し!

写真 (16).JPG

真夏なのに残雪があります。
明らかに軽装過ぎますね。

写真 (21).JPG

キャンプ場で自炊したり、駅の通路に寝たり、
カップラーメンばかり食べて、たくさんの経験をした旅でした。
「君みたいな子は、司馬遼太郎の 竜馬が行く を読んだほうがいいよ」
旅の途中、誰かにそう言われて、それまで全くなかった読書の楽しみを知りました。
でも、あの羅臼岳以来、僕は一度も山に登っていません。

写真 (10).JPG

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